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第2章:数の割り算
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例題1−1: 1011649÷9=
この問題は、最後に考える。
まず「9で割る」ことについて調べる。
10÷9=1…1
11÷9=1…2
12÷9=1…3
これより、以下の事が分かる。
・商:「割られる数」の最初(左端)のケタの数になっている。
・余り:「割られる数」の最初と次(右端)のケタの和になっている。
※割り算では:「割られる数」÷「割る数」=「商」…「余り」
※つまり、最初の項が「割られる数」、次の項が「割る数」です。
これを使った計算の仕方を以下に示す。
13÷9=
9)1 3
---------
まず「割る数」のケタ数に合わせて、「割られる数」を縦線で区切る。
9は1ケタなので、13の右から1ケタの所に縦線を引いておく。
これが、「商」と「余り」の境界線となる。
9)1|3
----+---
「割られる数」の左端のケタ(=1)をそのまま下に書く。
9)1|3
----+---
1|
この数と、右上にある数との和(1+3=4)を、右横に書く。
9)1|3
----+---
1|4
よって、13÷9=1…4 」
同じようにして、
12301÷9=
まず「割る数」のケタ数に合わせて、「割られる数」を縦線で区切る。
次に「割られる数」の左端のケタ(=1)は、そのまま下に書く。
9)1 2 3 0|1
----------------+---
1 |
これと右上の数の和(1+2=3)を、下に書く。
9)1 2 3 0|1
----------------+---
1 3 |
次も同じようにして(3+3=6)、
9)1 2 3 0|1
----------------+---
1 3 6 |
最後まで、繰り返す。
9)1 2 3 0|1
----------------+---
1 3 6 6|7
よって、12301÷9=1366…7 」
※割り算の関係式:「割られる数」=「商」×「割る数」+「余り」
※に代入して、計算結果が正しいことを確認してください。
同じように、もう一つやってみる。
136÷9=
9)1 3| 6
--------+-----
1 4|10
※重要:この時「余り」を左の「商」の方へ繰り上げないように注意!
「余り」が10(>9)になったので処理する。
具体的には、「商」に1を加え、「余り」から9を引く。
9)1 3| 6
--------+-----
1 4|10
|
+1|−9
--------+-----
1 5| 1
よって、136÷9=15…1 」
ここで、最初の問題に戻る。
1011649÷9=
9)10116 4| 9
----------------+------
11239 3| 22
1 |
まず、計算途中の繰り上がり(9+4=13)を処理する。
9)10116 4| 9
----------------+------
11239 3| 22
1 |
----------------+------
11240 3| 22
次に「余り」が22(>9)になったので、これを処理する。
「商」の方に2を加え、「余り」から9×2=18を引く。
9)10116 4| 9
----------------+------
11239 3| 22
1 |
----------------+------
11240 3| 22
|
+2|−18
----------------+------
11240 5| 4
よって、1011649÷9=112405…4 」
※「余り」の処理の別の方法:22÷9=2…4 と再計算すれば、
※「商」に加える数2と、「余り」の最終的な値4が求まります。
※どちらの方法が楽かで、使い分けると良いでしょう。
ちなみに、「余り」を出す形ではなく、小数点以下の任意の場所まで
求めたい場合は、通常の筆算と同じように0を増やせば良い。
※重要:「商」の小数点は、「割る数」のケタ数だけ左にずらすこと!
13÷9=
9)1 3.0000000|0
------------------------+--
1.4 4444444|4
よって、13÷9=1.44444444... 」
※この場合、「割られる数」の残りの各ケタが0なので、
※何度やっても4+0=4 と、以下無限に続きます。
※9で割って割り切れない時は、必ずこのような形になります。
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例題1−2: 123÷8=
この問題は、少し後で考える。
まず「8で割る」ことについて調べる。
20÷8=2…4
21÷8=2…5
22÷8=2…6
ここでは「余り」が「割られる数」の和にはなっていない。
しかし「割られる数」と「余り」の関係を次のように考えれば、
2×□+0=4
2×□+1=5
2×□+2=6
□=2 であることが分かる。
さらに、基準数(Bと書く)を10と取れば、
□=10−8 つまり、Bと「割る数」との差になっている。
□を「差の数」と書くことにする。
※「割る数」が9の場合、「差の数」は10−9=1になります。
実際の計算の仕方を以下に示す。
123÷8=
8)1 2 3
------------
基準数B=10 と考える。
「差の数」(10−8=2)を、「割る数」の下に書く。
「割る数」のケタ数に合わせて、「割られる数」を縦線で区切る。
そして、「割られる数」の左端のケタ(=1)をそのまま下に書く。
8)1 2|3
--- ------+--
2 1
次に、この数(=1)と「差の数」を
掛け算して、右上の数(=2)に足し算する。
つまり、1×2+2=4 これを下に書く。
8)1 2|3
--- ------+--
2 1 4|
この操作(「差の数」と掛け算してから、右上との和を取る)
を右端まで繰り返す。
8)1 2| 3
--- ------+----
2 1 4|11
※余り(=11)を左の商の方へ繰り上げないことに注意!
最後に、「余り」の処理をする。簡単な時は、暗算でも良い。
(ちなみに「商」に1を足し、「余り」から8を引いている)
8)1 2| 3
--- ------+----
2 1 4|11
------+----
1 5| 3
よって、123÷8=15…3 」
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例題1−3: 111000000÷98=
この問題は最後に考える。
まず、前問で使った方法を、さらに拡大する。
つまり、「割る数」が9や8で始まる「大きな数」の
場合の計算方法を調べて行くことにする。
111÷89=
基準数B=100である。
「割る数」(=89)が2ケタなので、
縦線の区切りも右から2ケタの所に引いておく。
89)1|11
----+----
まず「差の数」(100−89=11)を「割る数」の下に書く。
89)1|11
---- --+----
11
次に「割られる数」の左端のケタをそのまま下に書く。
89)1|11
---- --+----
11 |
--+----
1|
この数を「差の数」と掛け算する。(1×11=11)
これを、右上に書く。
89)1|11
---- --+----
11 |11
--+----
1|
最後に、右の列を足し算する。(11+11=22)
89)1|11
---- --+----
11 |11
--+----
1|22
よって、111÷89=1…22 」
※前問までの例では、足し算の結果を、直接
※下に書いていました。今後は計算を楽にするため、
※掛け算の結果を一度中段の欄に書きます。
手順に慣れるため、さらにいくつかの計算例を示す。
1111÷89=
B=100である。
「差の数」を求め、「割る数」の下に書く。
「割る数」のケタ数に合わせて、「割られる数」を縦線で区切る。
途中計算のために中段の欄を用意する。
「割られる数」の左端のケタをそのまま下に書く。
89)11|11
---- ----+----
11 |
|
----+----
1 |
下の数と「差の数」を掛け算して中段に書く。
89)11|11
---- ----+----
11 1|1
|
----+----
1 |
※このように区切りの縦線をまたぐのはOKです。
※ただし、この数の「差の数」のケタ数ぶんが、
※完全に右側(「余り」の側)に入る場合は、
※左側(「商」の側)に繰り上げることは出来ません。
次の列の和を下に書く。(1+1=2)
89)11|11
---- ----+----
11 1|1
|
----+----
12|
次は、2×11=22だから、
89)11|11
---- ----+----
11 1|1
|22
----+----
12|
残りの列の和を計算すると、
89)11|11
---- ----+----
11 1|1
|22
----+----
12|43
よって、1111÷89=12…43 」
7632÷94=
B=100である。
「差の数」を求め、「割る数」の下に書く。
「差の数」が「割る数」より少ないケタ数の時は、左側を0で埋める。
「割る数」のケタ数に合わせて、「割られる数」を縦線で区切る。
途中計算のために中段の欄を用意する。
「割られる数」の左端のケタをそのまま下に書く。
94)7 6| 32
---- ------+------
06 |
|
------+------
7 |
下に書いた数と「差の数」を掛け算して、結果を中段へ。7×06=42
次の列の和を下に書く。6+4=10
※縦の足し算は、掛け算のたびに1列ずつです。
※繰り上がりが生じた時は、書き方を工夫します。
94)7 6| 32
---- ------+------
06 4| 2
|
------+------
7 0|
1 |
下に書いた数と「差の数」を掛け算して、結果を中段へ。10×06=60
※掛け算する下の数は、繰り上がりも含めた10です。
次の列の和を下に書く。3+2+6=11
※この繰り上がりは、左の「商」の側には入れないこと!
94)7 6| 32
---- ------+------
06 4| 2
| 60
------+------
7 0| 1
1 |1
中段が右端まで来た所で、掛け算は終了。
右端の列の和も下に書く。そして繰り上がりを整理する。
94)7 6| 32
---- ------+------
06 4| 2
| 60
------+------
7 0| 12
1 |1
------+------
8 0|112
最後に、余りが112(>94)なので、処理する。
94)7 6| 32
---- ------+------
06 4| 2
| 60
------+------
7 0| 12
1 |1
------+------
8 0|112
|
+1|−94
------+------
8 1| 18
よって、7632÷94=81…18 」
1010101÷899997=
B=1000000である。
「差の数」(B−「割る数」)を求める際の公式:
『各ケタは9から引き算、右端のみ10から引き算』を使うと、
899997 → 100003と「差の数」が楽に求まる。
899997)1|010101
------------ --+------------
100003 |100003
--+------------
1|110104
よって、1010101÷899997=1…110104 」
※「商」が1なので、この問題は、実はあまり意味がありません。
※「差の数」を求める公式を示すために挙げました。
11111111÷99979=
B=100000である。
「差の数」は公式より、00021となる。
「差の数」が「割る数」より少ないケタ数の時は、左側を0で埋める。
99979)111|11111
---------- ------+----------
00021 00|021
0|0021
|00021
------+----------
111|13442
※中段に確保する計算欄の行数は、区切りの縦線より左側にある
※「割られる数」のケタ数ぶんとなります。この場合は、
※左側は111と3ケタなので、中段は3行ぶん確保します。
よって、11111111÷99979=111…13442 」
ここで、最初の問題に戻る。
111000000÷98=
※以下のことに注意して、ご自分でやってみてください。
※「差の数」を求める。必要なら公式を使う。
※「差の数」のケタ数に注意する。必要なら0で埋める。
※「割る数」のケタ数に合わせて、「割られる数」を縦線で区切る。
※中段の計算欄に必要な行数を確保する。
※答えが出たら「割り算の関係式」で正解かどうかを確認!
98)1110000|00
---- --------------+----
02 02 |
02 |
06 |
04 |
12|
1|0
|06
--------------+----
1132653| 6
よって、111000000÷98=1132653…6 」
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例題1−4: 111000000÷49=
「割る数」が「大きな数」でない場合を考える。
49×2=98
※この「×2」の操作を後で使います。
この98は「大きな数」だから、
49の代わりに98で割れば、
49×2=98)1110000|00
---- --------------+----
02 02 |
02 |
06 |
04 |
12|
1|0
|06
--------------+----
1132653| 6
※ここまで前問と全く同じです。
最後に左側の「商」に「×2」の操作を加える。
右側の「余り」はそのまま。
49×2=98)1110000|00
---- --------------+----
02 02 |
02 |
06 |
04 |
12|
1|0
|06
--------------+----
1132653| 6
|
×2|
--------------+----
2265306| 6
よって、111000000÷98=2265306…6 」
※このように「小さな数」は、「大きな数」に帰着させることが可能です。
※直接「小さな数」で割り算をする方法は、次の例題で扱います。
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例題2−1: 1234÷112=
「割る数」が1で始まる「小さな数」の場合を考える。
まず、ケタごとにバラバラに書く。
※(1 2 3 4)という組を(1 1 2)という組で
※「割る」と考えます。具体的な計算は以下で説明します。
1 1 2) 1 2 3 4
------------ --------------------
今までの「差の数」と同様に「差の数の組」を求める。
「基準の数の組」はこの場合(1 0 0)となる。
(1 0 0)から(1 1 2)のそれぞれを引くと、
(1−1 0−1 0−2)=(0 −1 −2)
この「差の数の組」を「割る数の組」の下に書く。
※この時、左端の0は無視する(=書かない)。
1 1 2) 1 2 3 4
------------ --------------------
−1 −2
「差の数の組」は数字2個で出来ているので、
「割られる数の組」の右から2個の所に、縦線の区切りを入れる。
1 1 2) 1 2| 3 4
------------ --------+----------
−1 −2
「割られる数の組」の左端を、そのまま下に書く。
1 1 2) 1 2| 3 4
------------ --------+----------
−1 −2 |
|
--------+----------
1 |
この数と「差の数の組」のそれぞれを掛け算すると、
1×(−1 −2)=(−1 −2)
これを、右上に書く。
※それぞれ独立した数なので、繰り上がりは一切ありません。
1 1 2) 1 2| 3 4
------------ --------+----------
−1 −2 −1|−2
|
--------+----------
1 |
次の列の和は、2+(−1)=1
「差の数の組」と掛け算すると1×(−1 −2)=(−1 −2)
1 1 2) 1 2| 3 4
------------ --------+----------
−1 −2 −1|−2
|−1 −2
--------+----------
1 1|
中段の計算欄が埋まったので、残りの列の和を計算すると、
1 1 2) 1 2| 3 4
------------ --------+----------
−1 −2 −1|−2
|−1 −2
--------+----------
1 1| 0 2
計算終了後、結果を普通の数として見る。
よって、1234÷112=11…2 」
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参考文献:
書名:『Vedic Mathematics』
著者:Sri Bharati Krisna Tirthaji
ISBN:8120801636
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